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消えゆく証を何度でも

何度も逢瀬を重ね、私好みに仕立てあげられた奴隷とのセッション記録。今回は、連日で足を運んできた初日。
奴隷はいつも通り、静かな笑顔で私の荷物を運び入れ、言を待たず私のジャケットを受け取る。サイドテーブルには素敵な包みの手土産を置いて、いつものように私をもてなしてくれる奴隷。春にしては暖かく、冷房を入れてもいいくらいの気候だった。暖かくなってきたね、なんて他愛ない会話から静かに始まる時間。これほど穏やかな時間であるのに、全てが終わると、私の訪れは一瞬の思い出へと変わってしまう。溜め込んだゆく宛のない想いを綺麗に洗い流し、容赦のない痕跡を深く刻んで去ってゆく嵐のような一瞬の時間。痕跡を見て夢ではないと感じられるのも束の間。時間が経つと記憶と共にその痕跡すらも薄まり、現にあったことなのかわからなくなってしまう。それでも確かに心の中にゆく宛のない忠誠心が膨らみ続ける。そんな一連のひと時が、また静かに始まろうとしていた。

いつものように身体を眺め、前回の証の跡を確認する。慈しみに溢れた強烈な私の鞭といえど、これだけの時間が空けばほとんど消えてしまっていた。ただ唯一、私が直接刻みつけた歯形は薄緑色の痣になって残っていた。けれど悲しいことに、これも時間が経てば消えてしまうでしょう。痣は奴隷にとって私との繋がりを確認できる証。一枚服をめくればそこにある。なのに日に日に薄まっていく。寂しくてたまらないでしょう。奴隷は床に伏して、一つの決意を口にした。
「この身体に、主従の証を永久に刻んでいただけませんか?」

その声音には震えがありながらも、確かな熱があった。もうとっくに、私との切れぬ手綱で結ばれているのに。私への絶対的な帰属を、肌の奥深くにまで染み込ませたいという奴隷。どれだけ自由を奪われ、どれほど奴隷に堕ちてもなお、永遠の証が欲しいという切望。止まぬ願望があるということは、奴隷の最後の“人間らしさ”かもしれないし、所有され酷使され初めて機能する「モノ」としての本物の願望なのかもしれない。
奴隷の頭を掴んで顔を上げさせる。「覚悟はあるようね」奴隷の顔を見て想いが全て伝わってくる。私の独り言に、奴隷は真っ直ぐ私を見つめて「はい」と力強い返事を返した。返事と同時に、痣の残る太ももをヒールの踵で踏みつける。思わず身体を縮めこめ「うう…」と耐え忍ぶ。すかさず頭を再度掴み上げ、私と目を合わさせる。目が合ってる状態で踏まれたほうが記憶に残るはず。細い踵は皮膚を突き破る勢いでめり込み、一瞬にして赤い小さな円形の跡を残した。犬、鳥、馬、兎…数多ある可愛らしい足跡の中で、きっと私の足跡が一番キュートでしょう。

奴隷の身体を静かに拘束していく。冷たい革の枷で両手両足を固定し露わになった前回の痣。そこめがけて鋭いケインを打ち込む。開脚していた足を思わず閉じてしまうほどの刺激。閉じることは許さない。奴隷も頭ではわかっているのだろう。一切の抵抗を見せずに、私の足が促すまま、再度開脚されられ閉じることができないよう固定されてしまう。次は乗馬鞭を取り出し、まずは乗馬鞭を振った時の音を聴かせる。瞬時にビクッと身体を震わせる奴隷。どんな音がして、どんな痛みなのか、全部身体に刻み込まれている。まだ叩かれてもいないのに。ここまで調教が進んでしまっているのだから、もう乗馬鞭で叩く必要もないのかもしれない。


手足の拘束を解き、今度は後手で拘束して壁際に立たせる。背中を壁につけ、私を見つめてくる奴隷。何をされるかわかっているのでしょう。ベットの上に並べた一本鞭を横目で見る奴隷。床に這いつくばった奴隷の尻めがけて打つ鞭も良いけれど、向かい合って打つ一本鞭も、これまた愉しいもの。至近距離で打ちやすい短い一本鞭を選ぶ。短い分コントロールもしやすい。まずはお腹。さらに横から当てて横腹。そして乳首へと、強烈で的確な鞭を当ててゆく。鋭い痛みと共に、奴隷は低く呻き声を漏らす。けれど、動くことも目を瞑ることもできない奴隷。奴隷の五感の全てが私への従属から逃れようもない。微かな緊張があるのか身体はかすかに震えている。けれど、ようやく居場所を見つけた安堵ともとれる忠誠心のような暖かい気持ちも身体から伝わってくる。身体の表面から響いてくる痛みこそが、奴隷にとって主との時間を再認識させてくれる幸福な刺激でしょう。

一通り鞭を楽しんだら、次はまったりくつろぎながら嗅覚を弄ぶ。ヒールで疲れた私の足の香りを堪能しながらひたすらマッサージをする奴隷。匂いをいただきながらマッサージをさせていただけるなんて、幸福な奴隷ね。

次は私が手を使いたい気分。縄でいつものように拘束を施してゆく。身体を縄が滑るたび、かすかに身体を震わせる奴隷。拘束されるたび、私の手の内にとど込められてゆく。ベットに寝かせ、足の拘束も施していると、「包まれてるみたいで安心します…」そんな風に言ってくれる奴隷。そうね、安心するでしょう?と言いながら、ふたつの角が生えた黒い器具を取り出し、足に残っている痣へ当てがいスイッチを押す。「うっ!」と押し殺した声を漏らし、身体を捩る奴隷。もうお前はこれが何だがわかるでしょう?

電気は苦手な奴隷。どんな刺激が来るとわかっていても、必死に身体を捩り、逃げようとしてしまう。ふふ、流石に電気はこわいわね。鞭と違ってタイミングがわからないし、刺激に耐えても、お前が欲しくてたまらない「証」は残らないし。身を捩りながらも、目をキラキラさせながら私を見つめる奴隷。私からの幸福な刺激を落とされるたび、所有されている事を感じる。私からの刺激が欲しくてたまらない。そんな表情はどこか恍惚とさえしている。「本当にどうなってしまうんでしょう…」そう呟いた声は、震えながらも甘く、幸福そのもの。自分の行く末に未知の謎を抱くも、その行く末はただ不安とは違って、新しい期待を灯しているものなのでしょう。

私からの幸福な刺激に対して、相変わらず呻き声でしか返すことのできない口へ足を深く突っ込む。奴隷は喚くのをやめ、私の所有であることを語る無言の記号のように、顎が外れるほどの大口をあけ涙目で咥えしゃぶりつく。奴隷の喉奥から濁った吐息が漏れる。

奴隷の身体に刻まれた、赤く腫れた傷跡。傷を残さない電流の刺激。記憶を強固に残す嗅覚の支配。包み込み優しく固定する縄の肌触り。どれもが従属を思い知らせてくれる。また今回の証はいずれ消えてしまうでしょう。それでも忠誠心は何度でも膨らませてやってきなさい。

いつものようにセッション後はコーヒータイム。いただいたお土産も二人で食べながら微睡ました。残りは自宅へ持ち帰らせてもらったけれど、どれも絶品で美味しかったわ。

そして明日はいよいよ連日セッションの2日目。セッション記録、楽しみに待っていて。

いつも楽しい時間をありがとう。

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