
主従と躾〜Real Dominance〜
先日とある奴隷が心のこもったメールを送ってくれた。過去出演した映像作品を見て私の振る舞いに心惹かれ、忠誠を誓わせていただきたい、と。
これは、私との主従関係に憧れ、勇気を持ってやってきてくれたSM経験の長い奴隷とのセッション記録。
部屋へ向かうと、緊張した面持ちで私を迎え入れてくれた奴隷。これまでの丁寧なメールのやり取りを鑑みてわかっていたけれど、誠実で優しい人柄だと、一眼見ただけで伝わってくる雰囲気を持った奴隷だった。緊張した面持ちながら、私が愛用する道具入れのスーツケースへ手を差し伸べた。あら、運んでくれるの?と回答は一つに決まっている質問をあえて投げかけ、「はい。」と答えさせる。優しいね、助かるわ。と答えると、うっすら緊張が解け、喜びとも、恥ずかしさとも取れるような表情をしてくれた。緊張が解けたのも束の間、一見可愛らしいピンクのスーツケースの重さにびっくりしたことでしょう。その重さは、これから自分に使われる数々の道具の重みなのだから。このスーツケースからどんな拷問具が登場するか…それが即座に頭をよぎり、また違った緊張感が身を強張らせてしまったかしら?自分の躾道具を自ら運び入れた奴隷は、部屋の中心でぎこちなく棒立ちしていた。
私を迎え入れた部屋は、さっきまでの一人の空間とは一変し、異質な空間へと変貌する。映像や写真で待ち焦がれていた私の存在。二人きりの空間。緊張している奴隷をソファーへ座るよう促し、私は傍のベットへ腰掛けた。奴隷へ微笑みかけ、「今日は、よく会いに来てくれたね。」と声をかける。奴隷は少し緊張がほぐれたような表情で、遠慮がちに語りはじめた。
以前より私の活動を目にしているが、なかなか一歩を踏み出せずにいた事。けれども夢は膨らみ、ついに連絡をくれたという事。飴と鞭で私の好む奴隷に調教されたいという事。身も心も支配された上で、忠誠を誓わせていただきたいという事…。彼の願望は、一朝一夕には出来上がらないような、兼ねてから思いを積み重ねてきてくれたのだと感じさせるものだった。
シャワーから出るや否やすぐさま床に平伏してくれる奴隷。さっきまでとはまた明らかに違う態度。床にひれ伏した頭を遠慮なく踏めるほどの奴隷オーラがあった。けれども、まずは、こいつの“最後の人間としての言葉”を聞いておきたい。改めて私へご挨拶をさせる。「本日は星名様の好みの奴隷に調教いただきたく〜」と床に向かってくぐもった声で話し始めた奴隷に、誰に向かって話しているのか問いかけ、私を見上げさせる。主人に対して調教を乞うのだから、私を見なさい。奴隷は私を見て、またゆっくり言葉を続けてくれた。「飴と鞭で身も心も支配いただけないでしょうか」と。
“飴と鞭で”。いい言葉。私の心が舞い上がるワード。なぜなら、何が飴で、何が鞭なのか、その判別すら私が握っているのだから。奴隷にとってこの言葉を発するというのは、言わば覚悟の表れでしょう。何を以て飴と鞭とするのか、判断を握られている。それもわかった上で、“飴と鞭で”支配されたいと言葉にしてくれた。いい覚悟ね。
覚悟を確かめるつもりはない。きっと真意なのだから。私が彼にできるのは、手を差し伸べながら、私好みの奴隷へのステップを1段づつ降りさせるだけ。怖くないよと飴をチラつかせながら、高いステップを下らせる。私の手を握り続けていれば、私好みの立派な奴隷へ堕ちてしまうでしょう。
今日私が彼へ教えてあげるのは、奴隷として下るために“自由を捧げること”。動く自由、考える自由、話す自由、五感の自由。それらを私に捧げることは人間をやめ、私の所有物になることと同じ。つまりは、これが心理的ハードル、私にとっての鞭である。対して、私にとってのあま〜い飴…パッと浮かんだのが、大好きな一本鞭。きっと奴隷にとっては、これら飴と鞭は逆なのでしょう。人間をやめて私の奴隷になれることは飴であるし、鞭は鞭でしかない。でもそんなのは、すぐどうでも良くなるでしょう。あま〜い飴よ、と言われて叩き込まれる鋭い一本鞭。痛いと言いそうになったらもっとくださいと鳴く、という私の命令通り、叩かれた瞬間に「イッ…!もっとください!」と大声で鳴き、次の鞭を予感し歯を食いしばる奴隷。やはり痛い時に出る咄嗟の人間の言葉というものは、堪えるのが辛い様子。私好みの奴隷になるために、正しい鳴き声「もっとください」を染み込ませる。次の鞭はうまく堪え、叩いた瞬間、「もっとください!」そう迷わず言い放つ。素晴らしい!笑顔で奴隷を褒めてあげる。命令を守れると褒めてもらえるのね。飴をもらってなお褒めてもらえるなんて。ああ〜もっとください、よね。叩くたび人間であることを破壊してくれる鞭を、心の底からもっと欲しくなってしまう。今度は叩いて欲しい部位を高く突き上げてくれる。もうすでに二発のムチの跡が残っている右ケツ。そこ目掛けて鋭い三発目を決め込む。当然「もっとください!!」と鳴き声を上げる奴隷。あ〜もっと欲しいのね、終わりがないじゃない。じゃあ次は違う飴を…。
なんて、そんなことを繰り返しているうちに、とうとう迷い込んでしまう。飴と鞭が倒錯した私の主従の世界に。二人だけの世界なら、鞭も飴も表裏一体。お互いのやり取りに応じて、くるくると柔軟に変わってしまう。自分にとっての右が、相手にとっては左なのと同様に。入ってしまえばどっちが入り口でどちらが出口だか分からなくなる。外の世界から隔てられ、右も左もわからない暗闇で、私たちの主従という密やかな光だけがある場所。私の一挙手一投足が、彼にとってのすべてとなる。

顔面にはガスマスクをつけ、呼吸を制限。手枷のつけた両手を、首輪についたチェーンと固定し、両足は折りたたむように縄で拘束し開脚させる。金属のつけ外しの爪を取り出し、動きを制限した身体の感覚を弄ぶ。初めは指の先から。腕を遡上し肩へと上がり、ゆっくりと脇をつつく。ガスマスク越しに吐息と僅かな鳴き声を漏らすも必死に抑えようとしている様子。さすが気遣い屋さんなだけあって、感覚も素晴らしく敏感らしい。今度は何をされても鳴き声を抑えてみなさいと命令し、再開。意地悪なことに金属の爪はツーと滑らせるように胸へと向かい、お前の“一番敏感な部分”へと進む。今か今かと待っているそれは、触ってもいないのに、ツンといきり立ち、私からの刺激を心待ちにしている。それだけイキリ立っているのなら、もう本当に触れているのと同じじゃない。触れるか触れないかギリギリのあたりで爪を動かすのを止め、ガスマスクの隣で悪魔の囁き。「困ったねえ〜、このまま触れてしまったらきっとお前は命令に背いてしまうだろうね」と哀れみととれる言葉をかける。つまり本心を言えば、“そんな事しないでしょうね?でも、万が一命令に背いてしまってもお仕置きを受けることができるのだからせっかくなら命令に背いてしまったらいいじゃない?”という奴隷への最高のお膳立てである。そのまま、敏感な部分の周りを攻め込み、一挙にその尖った部分をツンと一発討つ。見事に、「ああ!!」と鳴いて命令に背いてしまう奴隷。ああ!最高に可愛らしい!見事に私のフリをコナシてくれる。

お前の望み通り、お仕置きを。敏感になり、どんな小さな刺激でさえも過敏に感じてしまうソレを、何度も執拗につつく。私から刺激を与え続けられるなんて。こんなのお仕置きとは名ばかりで、ご褒美も同然じゃない。
革の首輪を外し、ラバーの首輪を手に取って見せる。ラバーの首輪には謎のチューブとポンプが。ポンプは空気入れになっていて、何度かプッシュしていくと、首輪はラバーゆえ膨らみ始める。さらにプッシュを続けると、風船のようにぎゅうぎゅうに膨れ上がる。それを見て固まる奴隷。これを首に巻いてプッシュし続けたらどうなるだろうね。答えのわかりきったクエッションを、しっかり実験で解明するのが私のやり方。

敏感な身体を爪で突きながら、息が漏れるごとにワンプッシュしていく。ガスマスク越しに、必死にこらえようとしている様が伺える。初めのワンプッシュはどうってことなくても、回数を進めていくうちに、圧迫感は明確に変わる。もうワンプッシュ、さらにワンプッシュ…。もうこれ以上は鳴き声をあげてはいけない。首を必死に振り、身体を震わせながら、刺激に耐えようと必死な奴隷。とどめを刺そうと、一番敏感な部分を弄ぶと、やはり「う!」と鳴き声を漏らす。私の手の中のポンプはしっかりとぺちゃんとになるまで握り込まれ、残酷にも空気がさらに流れ込み、空気の圧は首筋を締め上げる。パンパンになった首輪を触るも、まだいけそう。奴隷の手を握り、いっそ限界まで空気を入れ込もうと囁き、プッシュを続ける。私の手をしっかり握ったら限界の合図。プッシュを続けてもまだ握ろうとしない。もう限界かも、と言わんばかりの微かな握力を感じるも、手から感じる私の体温はお前を逃さない。この温かさがあるならまだいける。少し耐えて、そして、私の手をぎゅっと優しく握り限界を伝える。ゆっくり空気を抜いて首の拘束を解くにつれて、切り詰めていた緊張感もじんわりと溶けていく。
沢山耐えぬいたお前に、最高の飴を。ガスマスクをとり、冷たい床に寝かせる。天井が見えたも束の間、視界を私のお尻が遮り、顔面に座られ、足で頭を固定される。真っ暗で苦しい幸福。このまま私の尻の下で窒息してしまいなさい。

今回は全身を覆うキャットスーツ。キャットスーツは女王である私にとって正装だと思っているので、人前に出る時はマストで着ています。なので普段セッションの時には着ていないのだけれど、今日はなんとなく着たい気分だったのでチョイスしました。
今日のブログは私の心理描写と、私の想像する奴隷の心理描写が混ぜこぜになっていてわかりにくいかも。それでも、楽しかったセッションを、そのまま文章に落とせた気がします。私が自身の命令に背かせるために奴隷を誘導し、お仕置きで楽しむ癖があるというのは、ブラットテイマーというジャンルゆえ。

楽しい時間をありがとう。