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学術バーイベント「催眠×SM 催眠術師と女王様が語る実践知」御礼

2024年9月7日(土)に、学術バーQにて行われた「催眠×SM 催眠術師と女王様が語る実践知」イベントへご来場くださった皆様、誠にありがとうございました。
今回、催眠術師のたきせあきひこさんと、催眠とSMの対談を行いました。対談に入る前に、それぞれの分野について、お互いの知見を提示しながら説明を行いました。

前半は私のコーナー。SM について自身のセッションをもとに説明を行なっている時の様子。

便器調教のあれこれや、奴隷契約のあれこれを語る私。指図する棒は、乗馬鞭。

これらの写真は発表内容のほんの一部分。次のたきせさんの催眠のコーナーへ少しでも繋がるよう、あるキーワードを軸に、SMのセッションを通じて得た知見を語らせていただきました。催眠とSMとを繋ぐキーワードは、“想像力”ではないかと、今回結論づけています。

当初、告知の段階から「催眠やSMを取り扱うものの、それらの行為を披露する場ではない」と謳っていたのですが、実は急遽イベント終盤に差し掛かったタイミングで、少しですがお互いの分野の実演をさせていただきました。せっかくいらしてくれた方々へ、何かラッキーボーナスがあればいいなと思い…。それが“催眠 vs SM”のコーナーです。

VSと言っても、催眠術師のたきせさんと私のバトル、というわけではなく、“催眠の力と、SMの主従関係の力、どちらが優先されるのか”という実験であり、マゾの心の中で起こる葛藤とも言えるでしょう。実験台になってくれたのは、私と関係も長い、セッション経験のある元後輩。

たきせさんの誘導通り、壁を向いて、壁に額をピッタリとつけるマゾ。両手はパーの形に開き、額と同様に壁につけると、催眠の力によって、十字架のような体制のまま壁に固定されてしまった。すかさず、たきせさんがマゾの右側に立ち、頭を右へ向けるよう誘導します。対して私は、左から彼へ囁きます。こちらを向きなさい、と。右を向けけば催眠、左を向けばSMの勝利となります。
たきせさんの言葉を拝借すれば、催眠の力は「してはいけないのにしてしまう」イメージを誘導することだそう。対して、私の主従関係は、絶対に裏切れない絆。この催眠術の誘導の力と、主従関係の絆の強さの葛藤が、まさにマゾの頭の中で繰り広げられるわけです。
結果は、あっけなく右を向き、見事、催眠の勝利!
………おい!

とはいえ、改めて催眠の強さを実感しました。たきせさんの語られていたことによれば、必死に催眠の力に抵抗しても、その“抵抗するイメージ自体”が刷り込まれてしまっている訳ですから、やはり身体は催眠通りに従ってしまう。けれども、私の方を向かねばとする葛藤がマゾの背中から伝わり、意地らしくて堪らなかった。
ここで、もうひと勝負。催眠術によって、マゾは私の名前「星名」の記憶を、取られてしまった。私を前にして、絆の記憶を頼りに、私の名前を呼ぶことができるのかという実験です。これまたマゾの苦しい葛藤の様を目の当たりにしました。マゾは私のことを見ながら、必死に口を動かすけれど、名前が出てこない。私を見つめ続け、ハッとしたように出てきた言葉が「ちせい様」でした。そこは覚えててくれていたのね、と、姓を忘れている悲しさよりも、嬉しさが勝りました。ので、マゾは無事、私からのお仕置きをギリギリ回避です。

今回のイベントの見どころは、このマゾが掻っ攫っていきましたね。本当に見事でした。会場の多くの皆様を笑わせ、大いに盛り上げてくれたマゾのことが、なんだか誇らしいです。本当に可愛かった。

総合的に、今回もイベントも、来てくださった皆様の知見やご協力、素晴らしい理解力や懐の深さのおかげで、思い出に残るいいイベントになったと思っております。加えて、SMへの関心を持って理解を深めようと努めてくださった、たきせさん。催眠のことを何も知らない私に、一から催眠の道筋を示してくださり、新しい分野の知見を広げてくださいました。当初私が抱いていた、魔法のように相手を思うがままに操るイメージは覆され、むしろ相手の可能性を引き出し、包み込むような安心感を元にした“アナログな”(いい意味で人間味のある)話術なのかも、と印象が変わりました。人間だから人間の後押しができる、そんなふうに思いました。たきせさんに催眠術をかけられた方の様子を見ると、催眠術師の方の持つ言葉は相手の心を支える“応援”のようで、その安心な誘導こそが、相手の可能性を引き出すように思えてしまいました。他者の評価ではなく、自己肯定感の大切さが説かれるこの世の中にとって、自分の可能性を引き出す催眠術は、まさに今、必要とされる分野なのだと思えてなりません。

やはり催眠とSMの大きな共通点は、両者は共に、“言葉や想像力を用いて、想像できうる全てを「ある」という実在に変えていく営みである”、ということでしょうか。催眠はかかった人間にとって本物であるし、SMのセッション中、SとMを結ぶ主従関係は、本物である。たきせさんと私の伝えたかったメッセージは、フライヤーの上部にこっそりと記載していた、壮大なテーマ「Everything you can imagine is real」に集約されれば良いなと…。
今回、催眠とSMを掛け合わせるというイベントの企画をご提案してくださった学術バーの統括をされてらっしゃる豆腐さん。イベント前から催眠とSMの、このような平和的な融合を予知されてた訳ですから、まさに天才そのものでいらっしゃいます。

正直、SMというジャンルと融合できたのは、催眠が万能すぎるからでは?という考えが若干よぎってしまったのですが………いや!催眠とSM、お互いに相性が良かったからこの結論へ辿り着くことができたのだと、今回は〆させていただきます。

催眠術師のたきせあきひこさんとのツーショ。ぱっと見で、サーカス団?にしか見えない。たきせさんはこのルックスでニンニクアレルギー(珍しい!)をお持ちでいらっしゃるため、ヴァンパイヤと呼ばれてしまうそうです。

それでは改めて、お越しくださった皆様、心よりありがとうございました。

星名千聖

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